日本語教師の資格とされているものの一つに「日本語教育能力検定試験合格」があります。
これは日本国際教育支援協会が毎年10月に実施しているもので、日本語教育の実践につながる基礎知識、問題解決能力、現場対応能力を測定する試験です。
今回はこの日本語教育能力検定試験(以下「検定」)についてお話しします。
「検定」については以下のような方に受験のニーズがあります。
①学士がなく養成講座の420時間コースだけでは資格にならないので、「検定」を取得したい
②できるだけ短期間で日本語教師の資格を取得したい
③日本語教師の資格は既に持っている(実際に教師として働いている)が、+aで取得したい
特に切実なのは①に該当する方でしょうか。
2018年現在、検定合格は学士がない方にとっては、国内でいわゆる資格取得者になる(ほぼ)唯一の道です。
それ以外に②③のような方にもニーズがあり、現役の日本語の先生の中にも幅を広げるために合格を目指す方は多くいらっしゃいます。
以下は検定にまつわるQAです。
Q .現職の日本語教師の「検定合格者」率はどれくらい?
日本語教育振興協会報告の「平成 27年度 日本語教育機関実態調査 」によると、日本語教育機関で働く教員の検定合格者は24%とのことです。
この数字を多いととるか、少ないととるかですが、必ずしも現職の先生全てが合格しているわけではないことがわかります。
Q.「検定」だけの資格で、日本語教師として大丈夫?
A.検定は最短で資格取得できる方法です。
しかしながら「検定」はペーパーテストであり、いわゆる「授業力」を問われないので、教壇に立つ際の実践不足が問題となります。
そのため、機関の採用試験の一環として行われる模擬授業が上手く行えず、突っぱねられてしまうことも。
さらに「検定」合格をしたにも関わらず、授業をする自信が持てず、結局「420時間コース」を受講するという話も珍しくありません。
ゼロから日本語教師を目指す場合、「検定」を軸に考えるとややリスクがあると言えるでしょう。
Q.合格していると採用や待遇に影響が出る?
A.検定合格を絶対条件としている学校は少ないですが、既有の資格+aとして検定合格が就職活動に有利になることは期待できます。
教育水準の高い学校などは、先生の質の担保のために、検定合格を重視していることもあります。
待遇につきましても、給与への反映はある程度見込めるでしょう(過度な期待はできませんが)。
また合格という事実によって、教師としての自信が持てるというような副次的な効果もあります。
Q.「検定」は難しい?
A.「検定」の合格率は20%台で推移しており、合格点は70%ほどと言われています。
20%というと低く感じるかもしれませんが、「日本人なのだから受けてみれば合格するかもしれない」と考える一定の受験者層もあることを考えると、数字程の難関ではないとも推察されます
ただ決して容易ということはありません。問題内容を見れば↓、その領域の広さから、母語話者としての日本語能力だけでは太刀打ちできないことがわかるでしょう。
ref.)検定出題範囲 http://www.jees.or.jp/jltct/range.htm
検定問題例 http://www.jees.or.jp/jltct/pdf/H28_example_test.pdf
また420時間コースの修了者であっても、試験形式やペース配分、出題傾向など、対策すべきことは多くあります。
特に音声問題はしっかり解法のコツを別途抑えておかないと何をしたらいいのかわからないうちに終わってしまいます。
自学が苦手であれば、講座に付属する検定対策コースなどの受講も検討しましょう。
Q.どう勉強すればいい?
A.隣接領域に詳しい等のアドバンテージがあれば別ですが、0から始める場合、遅くとも半年前、早ければ1年前から準備を始めたほうがよいでしょう。
420時間コースへの入講を考えている方、コースに在籍している方については、コースの科目と並行して対応する知識を自学でしっかり復習+補てんしておくと効果的です。
タグ
カテゴリー: 日本語教師になるには? | 2018.10.16