こんにちは、教務の中村です。
今回は前に紹介した「パラック・パニール(ほうれん草とチーズのカレー)」の個人的な思い出を、少しお話ししたいと思います。
10年ほど前、私は南インドのタンジャブールという小さい町の大学に勤めておりました。
海外に住むと大事なのが「食」への適応。
常にお腹ゆるゆる状態であること、ハエがチャパティに引っ付くことにはすぐ慣れたのですが、三食お世話になる大学の食堂にはやや物足りなさを感じていました。
理由の一つは献立が毎日カレーであること。
現地の調理人に言わせれば、「昨日はナス、今日は豆、オクラ、じゃがいも、いろいろメニューがあるだろう」と。それぞれ異なるメニューと認識しているんですね。
もう一つはベジタリアンの大学であるため、肉が食べられないことです。
「バターチキン」をどうしても食べたくなったら、最寄りのレストランまでバスを40分走らせなければなりません。
そんな食傷気味のある日の昼、いつものように学食に行くと、鍋の中に普段見ない色が。
それが「パラック・パニール」との出会いでした。
鮮やかな緑色をチャパティにつけて恐る恐る食べてみると、いつものカレーとは明らかに異なるやさしい味わい。
そして、肉が入っている!・・・と勘違いしてしまうほどのパニールの確かな噛みごたえ。
歯とあごが「久しぶり!」と言っているような感覚でした。
それ以来、食堂でパラック・パニールが出る日には小躍りし、何杯もお代わりしたものでした。
(ちなみに現地人に「パニールって何なの?」ときいたら、家の前のヤギを指したので「ヤギ肉っておいしい!」としばらく思っていました)
そんな思い出の味。
カレー屋で、またレトルトパウチで、たまに口にすることもあるのですが、あの時の味に及ばないのはなぜでしょうか。
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