※この情報は、2020年9月1日時点の情報です。
「コロナ禍における日本語教師について」
こんにちは。キャリアカウンセラーの薗部です。
不定期で日本語教師の就職に関するミニ情報をお届けしています。
今回のテーマは「コロナ禍における日本語教師について」です。
ご承知の通りコロナウイルスの感染拡大で日本経済が大きな打撃を受けていますが、私達日本語教育業界もご多分に漏れずかなりの影響が出ています。日本語学校が現在どのような状況であるのか、皆さんの今後の就職活動にどのような影響が予想されるか、わかる範囲でお伝えしたいと思います。
まず日本語学校にとって一番大きな打撃となっているのは、学生が入国できないということです。2020年4月初旬から日本政府が水際対策として、146か国以上の外国・地域からの上陸拒否を打ち出しています。それは留学生も例外ではありません。日本語学校では2020年4月、そして7月と多くの新入生を見込んでいましたが、日本への入国ができなくなりほとんどが母国で待機しています。つまり学校の在籍学生数が激減しており、予定していたクラス数が開講できていないのです。海外への渡航も制限されているため学生の募集活動もままならず、多くの学校が収入源を絶たれている状態です。辛うじて開講しているクラスも専任講師が目一杯授業を持ち、非常勤は休業を余儀なくされたり、受け持ちコマ数が減らされたりという状況も見受けられます。例年であれば、今は10月に来日する学生受入れに備え、多くの学校が日本語講師の確保にしのぎを削っている時期なのですが、今年に限っては日本語学校の求人は数える程しかありません。
こうしてみると求職者にとってはかなり悲観的な状況のようにも思えますが、いったん入国制限が解かれると状況は一転します。これまで入国できなかった学生が一気に入ってくるわけですから、各校が日本語教師の獲得に躍起となることは容易に想像がつきます。日本語教師の有資格者は引く手あまたとなる逆転現象が起こり得ます。問題はいつ日本への入国制限が解かれてその時がやってくるかです。一部の報道によると、政府は外国人留学生の入国制限を緩和する方針を固め、日本政府が学費などを支給する国費留学生から受入れを始め、状況を見て私費留学生の受け入れに拡大するという情報もあります。
併せてコロナ禍でのオンライン授業の必要性にも触れておきます。
現在多く日本語学校が、母国で待機している学生のモチベーションを保つためにオンラインで日本語授業を提供するなどの工夫を行っています。また、東京を中心とする首都圏では日本語学校に現在在籍している学生へも、感染拡大防止を避けるためにやはり通学での通常授業を行わず、オンライン授業を行っている学校が少なくありません。コロナ禍ではオンライン授業にも対応できる日本語講師が求められています。現に採用のための面接・模擬授業もオンラインでの実施を指定してくる学校もある程です。
コロナの終息は現在のところ誰も予測ができていませんが、終わる時は必ず来ます。もしかしたらでコロナと共存する新しい生活が待っているのかもしれません。
現在、日本語教育業界全体は収縮していて、かなり厳しい状況ではあることは否めません。そのような中でも新しい国家資格となる「公認日本語教師」創設の論議は継続して行われています。長期的な視座で考えると、国内外を問わず多様化する日本語学習者へ質の高い日本語教育を提供する日本語教師の重要性は変わっていないということに他なりません。コロナ後の来るべき時に備え日本語教師として求められる人材となるよう、今からしっかり準備を整えておくことが大切なのではないでしょうか。
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カテゴリー: 就職情報 | 2020.09.01