Q.さっそくですが、ごんちー先生の講座でのご担当は?
主に理論科目を担当しています。
Q.プライベートのことで恐縮ですがオフは何をしていますか?趣味、特技、好きなこととかあれば教えてください。
子どものころから音楽が大好きなので、ひたすらたくさん聞いたり、ライブ映像を見たりしています。
主にジャズやソウル、ファンクが好きですが、それ以外も幅広く聞きます。
ライブに行くと、偶然居合わせた知り合いが引くほどはじけます。
最近ではYou Tubeやサブスクで気軽に色々な音楽が聞けるようになり、(は!まだこんないいミュージシャンがいた!)とか、(私が生まれたころにこんなアルバムが出ていたなんて…!)と気づかされることが多く、人生が終わるまでに納得いくまで聞けるだろうか?(たぶん無理!)などと勝手に焦ったりしています。
Q. トップ写真に選んだ「わたしの1枚」についてお聞かせください。
以前通い詰めていた香港で特に大好きな場所のひとつ、水上家屋のある漁村です。
初めてこの景色を見た時心が震えて、しばらくこの場に立ち尽くしてしまいました。
香港は摩天楼のイメージが強いかもしれませんが、大都会と大自然、東洋と西洋、時代の最先端のものと古き良きもの、きらびやかさと猥雑さなど、正反対のものがすぐそばにある混沌としたところが大好きでした。
今でも香港のことは心の中で大切に思っています。
Q.そんなごんちー先生の「これまで」について自伝的に熱く語ってください!
大学卒業後は一般企業に就職し、その後転職もしましたが、長い間ほぼずっと一般企業の会社員でした。
しかしふとしたきっかけで定年まで会社勤めを続けるイメージができなくなり、とにかく「退職する!」と息巻いたものの残りの人生をどう生きていくのかと考えていた時に、たまたま「日本語教師」という職業を知りました。
そのころ香港にどっぷりとはまっており広東語も勉強中だったので語学に興味があり、また海外の人と交流するのも好きだったので、これに挑戦してみようと思い、退職して日本語教師養成講座に通い始めました。
資格取得後に、国内の日本語学校で留学生の指導を始め、その後技能実習生やEPA看護師候補者にも指導するのと併行して養成講座での勤務も開始しました。
Q.日本語教育で興味のある分野とか専門とかってありますか?その魅力や面白さも教えてください。
日本語の助詞って面白いなあと思います。
例えば初級日本語の授業で、私が普段つけないネックレスをつけていると「先生、今日はきれいですね」とニコニコ(またはニヤニヤ)しながら言ってくるムードメーカーのような学習者が、なぜか必ずクラスにひとりはいるものです。
そこで私はすかさずいかつい顔を作って「あ”―ん!?」と睨み返します。
良かれと思って先生にごまをすったのに、なぜかキレられてる…。
ビビっている彼に周りが必死で小声で「も!も!」と囁き、彼は震え声で「先生、今日 も! きれいですね」と言い直す。
そして、私が「先生、今日もきれいですね! はい!」と全員に復唱させる…。
この流れ、今まで何度経験したでしょうか。
日本語の助詞は一字一音のものが多いですが、たったそれだけで意味が変わってしまったり、不自然になったり、先生を怒らせる!?ことがあるので、苦手意識を持つ学習者も多いようですが、それを丸暗記ではなくいかにイメージで教えるかが、教師の腕の見せ所だと思っています。
(実際の授業では、上記のように威嚇するだけではなく、ちゃんと理解できるように教えているつもりです。たぶん…)
上記の「は」と「も」の違いは、わかりやすいほうだと思いますが、他にも日本語母語話者が無意識で使い分けている助詞の例は無数にあり、例えば、タクシーの運転手に「ここ『で』(タクシーを)止めてください」と言うのに、駐輪場では「ここ『に』(自転車を)止めてください」と言うのはなぜか。
養成講座で学んでいてこの答えが理解できた時は、ひとりで感動しました。
日本語教師養成講座では、このようなことも勉強します。
Q.養成講座で印象に残っているエピソードとか、講座担当者として大事にしていることとか、教えてください。
理論科目には、一見とっつきにくい難しそうな項目もありますが、どうしてそれが必要なのか理解していただけるように、できるだけ私が経験してきた日本語教育の現場のエピソードをリンクさせてお話するようにしています。
ある時受講生さんに「先生のお話を聞いて、日本語教育の現場の様子が浮かんできて、自分が目指す教師像がつかめました」と言われ、とても嬉しかったです。
ただ(私自身が目指す教師像なん?え?そうなん?え?違うん?表現が曖昧でようわからんわー。どっちやねーん!?)などと、しばし心の中でツッコみましたが。
まあそんなことはどうでもいいんです。
日本語母語話者が日本語教師を目指す場合、自分が受けたことのない授業をすることになるので、なかなかイメージがつかめないものです。
かといって、日本語教育の現場を見学できる機会は世の中にはあまりないので、できるだけ今までの経験談などを伝えられたらと思っています。
Q.最後に、日本語教育を学んでいる方々、これから学ぼうとしている方々にメッセージをお願いします!
会社員時代の嬉しかったことはボーナス以外あまり思い出せないのですが、日本語教師になってからの嬉しかったことは、数々の教え子の顔とともにいくらでも甦ってきます。
最初は片言だった学習者が、半年後には私が教えた日本語表現を使いながら冗談を言ってきて爆笑しあったこと、
難しい言い回しをさらっと日常会話で使ったので「すごいねー!」と褒めると「先生が1年前に都こんぶ使って教えてくれたからでしょ!」と言ってくれたこと(その表現の使い方だけじゃなくて、都こんぶのことまで覚えててくれたなんて…涙)、
クラスでいちばん成績が悪く自信を失っていた学習者が、他の誰もが答えられない問題に答えられたので、周りのみんなが拍手したら感激して泣き出してしまい、それにつられて私もみんなも一緒にもらい泣きしたこと、
卒業式の日「先生に会えて幸せでした。これからも先生に教えてもらった日本語を使って、私は人生の道を歩いていきます」と手紙をくれたこと、
「ボク以外のベトナム人の技能実習生は休みの日は日本人と遊ばないけど、ボクは先生に日本語で話すことの楽しさを教えてもらったから、ひとりで日本人の輪に入っています!だから日本語能力試験のN3も合格しました!」と私が指導していた時より、ずっと上達した日本語で報告してくれたこと
…などなど、若干自慢に聞こえるかもしれませんが、私だけではなく多くの日本語教師がこのような経験をたくさんしているはずです。
かといってもちろんいいことばかりではありません。
授業準備は大変だし、知識も心構えも多岐にわたって必要だし、ずっと立って授業していると腰痛いし、のど乾くし、お腹すくし、授業終わってからめっちゃ食べるし…。
でもその苦労を補って余りあるほど、やりがいがありますし、自分の腕一本で色々な国で働ける魅力的な仕事だと思います。
お話、ありがとうございました!
カテゴリー: はんなり京都校ニュース 講師・職員の横顔 | 2022.07.01